VHEMT(自発的な人類絶滅運動)の創設者であるレス・ナイトは思慮深く、おだやかな口調で、理路整然と考えを語る、きわめてまじめな人物だ。
教師でもあるナイトは、必ず同じ答えになる数学の問題を解いているだけだと言う。
「60億の人類のすべての命を奪うウィルスなどありません。99.99%が死に絶えても60万人は自然な免疫反応によって生き残ります。
ウィルスの蔓延はむしろ種を鍛えるのです。5万年後、人類はあっさり現在のレベルに戻ることでしょう」

「私たち全員が子供をつくるのをやめることに同意すると仮定しましょう。
5年後には、苦痛のなかで死にかけている5歳未満の子供はいなくなります。
21年後には、当然ながら未成年者の非行はなくなります」

その頃には諦観が浸透し、人びとは恐怖におののく代わりに悟りの境地に至っているはずだと、ナイトは予測する。
食糧はあり余り、水をはじめとする資源も再び豊富になっている。
新たな住宅建設は不要なので、森林や湿地も生命力に満ちあふれるだろう。
「資源をめぐる争いはもはや起こらないので、戦いで命を無駄にし合うこともなくなるのではないでしょうか」

アラン・ワイズマン 『人類が消えた世界』より



The Voluntary Human Extinction Movement
自主的な人類絶滅運動 - Google翻訳

人類の絶滅を推奨するボランティア団体なんて物もあるんだね。こんな90年代みたいなサイトデザインで、実際20年前から続いているサイトらしいけど内容は充実していて論理的に考え抜かれている。

どちらかと言えばエコロジーの観点から人類の絶滅を目指している団体で「ヒトに限らず、感覚を持った生物の全て」が生まれてこない方が良いと考えるデイヴィッド・ベネターの反出生主義とは少し趣が異なる。でも目指している所は同じだ。

人類を絶滅させるボタンがあったら押しますか?



う〜んもし何の苦痛もなく一瞬で人類が消えるのなら押しちゃうかなぁ。苦痛が発生する核ボタンなら絶対押さないけど。
確かに「自発的な絶滅」というコンセプトには反するけど、死の苦しみさえなく全員が消えるなら押しても構わないのでは?

(戦争や疫病より)生殖の自由、経済的機会、教育が人口減少に効果的。

"..reproductive freedom, economic opportunity, and education are far more effective methods of improving the ratio of people-to-wildlife than promoting death could ever be."

- DEATH

結局この結論に行き着くんだね。アメリカは「子作りの判断に国家や他人が介入してはならない」という生殖の自由の規範が強固に守られているらしくて羨ましいわ。
日本じゃ未だに女性は「産む機械」扱いだもんな。
「生殖の自由」が守られている社会の方が絶対に幸せだよ。

イタリアなどの事例を見ると「女性教育」がカギを握ることがわかりました。その国の経済規模に関係なく、高度な教育を受けた女性ほど、初産年齢が上がり、出産数も少ない傾向にあります。

一方で学歴の低い女性は、社会で活躍する間もなく子育てに追われる傾向にある。つまり女性の教育水準を高めることで、われわれは持続可能な人口に近づくことができるのです。

アラン・ワイズマン特別インタビュー

女性の地位向上も必須だろう。生活のために好きでもない男と結婚する不幸はなくさなきゃならない。
女性が生涯独身で問題なく暮らせる様になれば出生率は下がる。それは良い事だ。