レトロエレメント

ウイルス感染から身を守る方法』と言う本に書いてあったのだが、判明しているだけでも人間のDNAの34%はレトロウイルスに由来していて過去に感染したウィルスの残骸であるらしい。
ヒトゲノムの97%はジャンクDNAで殆ど機能すらしていないと考えられているが、実際の所DNAの大部分はウイルスの残骸に過ぎないのかも知れない。

この本の著者の中原英臣氏らが提唱しているウイルス進化論によればレトロウイルスによって種間すら超えて遺伝子の水平伝播が起きていると言う。
ウイルスを使った遺伝子組み換えでラットの遺伝子をマウスに組み込んで「スーパーマウス」を作った所、その子供も半分はスーパーマウスだったらしい。
水平伝播した遺伝子は親から子へ「垂直」にも伝わる。

レトロウイルスの感染がきっかけで進化が引き起こされる事もあるそうだ。進化の全てがウイルスによるものではないが、間違いなく一部はウイルスが関与している。

「君たちはある場所で繁殖を始めると、資源を使い切るまで繁殖をやめない。生き残るためには、繁殖場所を広げるしかない。君たちに似た有機体がこの星にもう一ついる。何だと思う?ウイルスだよ」

これは映画『マトリックス』のセリフだが、確かに人間の行動もウイルスと大差がなかったりする。利己的遺伝子とはウイルスそのものではないか?
ヒトゲノムの34%はウイルスと同一であるし、最初の生命はウイロイドに近い存在だった。
生物はウイルスから進化したと言っても過言ではなく、元々人間にもウイルス的な性質が備わっているのでしょう。
プラスミド有性生殖の起源も細菌が「感染」によって遺伝子を増やしたのが始まりであり「遺伝子の水平伝播」が進化して有性生殖になった。
実際、精子が受精して増殖する様子はウイルスが感染によって増殖するのと良く似ている。

遺伝子の伝達手段としては垂直遺伝よりも水平遺伝の方が古く、ノーマルな現象である。
ウイルス進化論的に考えるとテレゴニーが起きるのは不思議でも何でもなく、むしろ自然であり当たり前。
妊娠するとマイクロキメリズムで胎児の細胞が母親の体内に混ざり、胎児の細胞を介して母親の側にも父親の遺伝子が水平伝播し、それが第二子にテレゴニーするのでしょう。

本来遺伝しない筈の父親のミトコンドリアDNAが一部の臓器から見つかったミトコンドリア病患者の体内からは、母親のミトコンドリアDNAと父親のミトコンドリアDNAがミックスされた細胞も見つかっている。
同じ人間の中に異なる遺伝子を持つ細胞があると両方の遺伝子が混ざり合うと言う事が実際にあるのです。

テレゴニー否定派は、まず「ウイルス進化論」が完全に間違いである事を証明すべきである。
それができないのであれば、テレゴニーもまた否定できないと言う事が、ご理解いただけると思います(暗黒微笑)

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